心理士・鈴木孝信の臨床日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 体で感じる心のケア

<<   作成日時 : 2015/04/09 00:32   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

地元のパン屋での出来事。
セール中だったロールケーキがレジで値引きされていなかったと思った会計後。

『これ値引きされないんですか?』
「420円ですが?」(あんた何なの?というようないぶかしい表情で)
『セール中じゃないんですか?』
「それはプレーンだけ(同じ種類の違う商品)ですよ」(面倒くさそうな口調で)

何かモヤモヤを感じて、のちに自分で商品を確認すると、プレーン味のロールケーキは、僕が購入した抹茶味のより定価が50円安く、購入した商品もちゃんと値引きされていた。いや〜な感じを抱きながら店を後に。帰宅途中、頭からこのことが離れなかった。

自分が確認不足だと思っていたのは分かっていた。店員が言葉足らずだとも分かっていた。店員に責められているように感じたのも分かっていた。自分はああいう風にはなりたくないなと考えていたのも分かっていた。そうこう考えていると、こんな小さいことだけど、でも自分は怒っていることが分かった。そして「受け入れたいなぁ」と思った瞬間だった。まず指先にピリピリとしびれが走り、胸から、足、腕、頭と順に熱が伝わるのが分かった。

たった5〜10秒程の体験。しびれは消え、熱は冷めた。そしてその店員や自分の失敗が浮かんでくる気配はなかった。意識していなかったら、そんなこと、すっかり忘れてしまっていた。

★★

日本の先をいくアメリカのメンタルケアでは、言葉で「理解」をして心の問題を治すのではなく、体を「感じて」治す方法が注目されています。これは脳神経科学の現在における結論で、脳の構造から「言葉では心の傷は癒せない」という様に考えられ始めているからです。つまり、言葉でのやり取りでは(進化的に新しい脳を使ったやり取り)心の深くにある傷(進化的に古い脳に潜む体の記憶)に届くことすら簡単ではない、と言われているのです。

あの瞬間、自分は「騙された」と思い怒っていたのだろうけど、人前で店員に文句を言うのは恥ずかしいし、また自分が間違っていたとしたら、それこそ大恥をかく。一瞬の計算(これは誰にでも起こること)で、怒っていることを出さないようにした。そしてその後、状況が一転し、自分が間違っていたことに気が付き、怒っているのが「理にかなわない」ということで出せなくなっていた。その怒りはそのまま、体で表現されることなく深くへ沈んでいった。

本来であるのなら、ノルアドレナリンというホルモンが分泌され、怒って交感神経が働き「戦闘状態」になり体の内外が緊張する、という反応が起きるはずだったのに、それが理性(怒るのはリスクがある。理にかなわない)で抑えられていて、反応出来なかった状態にありました。パン屋からの帰り道、その出来事が意識され、その起きるはずの体の反応が起きました。すると「押さえつけて感情に蓋をした」わけでもなく「思い出したくない」わけでもなく「店員のせいだ」と責任転嫁をするわけでもなく、まったく気にならなくなった状態になりました。実際、その後おいしくロールケーキを食べて「また行って買いたい」とも思いました。

これが「体を感じる」というアプローチのメンタルケアです。心のケアがこれからどんどん発展していく、その大きな一歩が「体を感じる」という方法。このブログでも紹介している「究極のマインドフルネスをもたらす眼」の心理療法であるBrainspottingを通じて、僕も心のケアの発展に尽力していきたい、と改めて思わるパン屋の体験でした。


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文

著書・翻訳書の紹介

体で感じる心のケア 心理士・鈴木孝信の臨床日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる